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Webフレームワーク パフォーマンス比較 2025年版

Kotaro Takada
Webフレームワーク パフォーマンス比較 2025年版

概要

2025年、Webフレームワークの選択肢は多様化し続けています。各フレームワークの進化と最適化が進む中、実際のパフォーマンスはどのように変化しているのでしょうか?今回、弊社が関わる実際のプロジェクトで使用している7つの主要フレームワークとランタイムの組み合わせで、最新のパフォーマンス比較を行いました。各フレームワークの特徴と実力、そして現代のWeb開発におけるベストプラクティスとして是非参考にしてください。

このベンチマークでは、以下のフレームワークとランタイムの組み合わせでAPIサーバーのパフォーマンスを比較しました:

  • Laravel + PHP-FPM (PHP)
  • Laravel + PHP-FPM with OPCache (PHP)
  • Laravel Octane + Swoole (PHP)
  • Go + Gin (Go)
  • NestJS (Node.js)
  • Rails API (Ruby)
  • Actix-web (Rust)

テスト環境

  • 同時接続数: 50
  • リクエスト数: 1000
  • テストデータ数: 10件 (一覧取得時)
  • テストデータ数: 1件 (単一レコード取得時)
  • データベース: MySQL 8.0
  • テストツール: Apache Bench (ab)
  • 実行環境: Docker (Apple Silicon)

ベンチマーク結果

GET /api/users(一覧取得)

パフォーマンス比較

フレームワークリクエスト/秒平均レイテンシ中央値レイテンシ95パーセンタイル
Go + Gin4,205 req/sec11.9ms10ms23ms
Rust + Actix3,148 req/sec15.9ms15ms21ms
Laravel Octane2,413 req/sec20.7ms10ms79ms
Rails API1,155 req/sec43.3ms31ms56ms
NestJS870 req/sec57.4ms48ms120ms
Laravel + PHP-FPM (OPCache)512 req/sec97.5ms74ms216ms
Laravel + PHP-FPM43 req/sec1,158.8ms1,068ms1,613ms

詳細分析

Go + Gin

  • 最も高いスループット(4,205 req/sec)を達成
  • 安定した応答時間(標準偏差が小さい)
  • 95%のリクエストが23ms以内に処理
  • メモリ効率が高く、GCの影響が少ない

Rust + Actix

  • 2番目に高いスループット(3,148 req/sec)を達成
  • 非常に安定した応答時間(標準偏差が小さい)
  • 95%のリクエストが21ms以内に処理
  • メモリ効率が高く、ゼロコストの抽象化を活用

Laravel Octane (Swoole)

  • Go + GinとRust + Actixに次ぐ高いパフォーマンス(2,413 req/sec)
  • 通常のPHP-FPMと比較して劇的な改善
  • 大部分のリクエストが10ms程度で処理
  • 一部のリクエストで遅延が発生(95パーセンタイルが79ms)

Rails API

  • 中程度のパフォーマンス(1,155 req/sec)
  • 安定した応答時間(標準偏差が小さい)
  • 95%のリクエストが56ms以内に処理
  • Pumaのマルチスレッド/マルチプロセスモデルにより、一貫したパフォーマンス

NestJS

  • 中程度のパフォーマンス(870 req/sec)
  • 安定した応答時間(標準偏差が小さい)
  • Node.jsのイベントループモデルにより、一貫したパフォーマンス
  • 95%のリクエストが120ms以内に処理

Laravel + PHP-FPM (OPCache)

  • OPCacheの有効化により、標準設定と比較して大幅な改善(512 req/sec)
  • 応答時間のばらつきが大きい(標準偏差が大きい)
  • 95%のリクエストが216ms以内に処理

Laravel + PHP-FPM

  • 最も低いパフォーマンス(43 req/sec)
  • 応答時間が非常に長く、ばらつきも大きい
  • 95%のリクエストが1,613ms以内に処理
  • 高負荷時のスケーラビリティに課題

各フレームワークの特徴と選択指針

1. Go + Gin / Rust + Actix

  • 最高のパフォーマンスを求める場合に最適
  • 学習コストは高いが、長期的なメリットが大きい
  • リアルタイム性が求められる金融系システムやゲームサーバーに適している

2. Laravel Octane

  • PHPエコシステムを活用しつつ高速化を図る場合に最適
  • 既存のLaravelアプリケーションからの移行が容易
  • 中規模から大規模のWebアプリケーションに適している

3. Rails API / NestJS

  • 開発効率とパフォーマンスのバランスを重視する場合に最適
  • 豊富なエコシステムと充実した機能を活用可能
  • スタートアップや迅速な開発が求められるプロジェクトに適している

4. Laravel (OPCache有効 / 標準設定)

  • PHPの豊富な実績とエコシステムを活用したい場合に最適
  • 初心者にも優しい設計で、学習コストが低い
  • OPCacheの適切な設定により、パフォーマンスを大幅に改善可能

最新のトレンドと今後の展望

  1. WebAssembly (Wasm) の台頭

    • ブラウザ内での高速な実行が可能になり、フロントエンドのパフォーマンスが向上
    • RustやGoなど、Wasmにコンパイル可能な言語の需要が増加
  2. マイクロサービスアーキテクチャの進化

    • 各サービスに最適なフレームワークを選択する傾向が強まる
    • サービス間通信の効率化が重要になり、gRPCなどのプロトコルの採用が増加
  3. AIと機械学習の統合

    • フレームワーク自体にAI機能が組み込まれる傾向
    • 開発者の生産性向上や、アプリケーションのインテリジェント化が進む
  4. セキュリティの重要性の増大

    • フレームワークレベルでのセキュリティ機能の強化
    • ゼロトラストアーキテクチャへの対応が進む
  5. クラウドネイティブ開発の主流化

    • コンテナ化やサーバーレスアーキテクチャへの親和性が高いフレームワークが優位に

まとめ

2025年のWebフレームワーク選びは、パフォーマンスだけでなく、開発効率、チームのスキルセット、プロジェクトの要件など、多角的な視点が必要です。本ベンチマーク結果を参考にしつつ、実際のプロジェクトでは、セキュリティ、スケーラビリティ、コミュニティのサポート、長期的なメンテナンス性なども考慮して、総合的に判断することをお勧めします。

技術の進歩は早いので、常に最新の情報をキャッチアップし、必要に応じて柔軟に対応することが重要です。この記事が皆さんのフレームワーク選択の一助となれば幸いです。